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一昨日の深夜、NHK BS-Hiで放映されていた映画『カポーティ』を観た。 トルーマン・カポーティは、三島由紀夫と並んで、私が大好きな作家のひとりだ。 大学時代にO・ヘンリー賞を受賞した『ミリアム』を読んで大いに感動し、さまざまな作品を読み漁った。『ミリアム』にインスパイアされた戯曲も書いたことがあった(全然ダメな出来だったから即ボツになったけどね〜)。 一般によく知られているのは、映画化された『ティファニーで朝食を』だろう。摩訶不思議な女主人公をオードリー・ヘプバーンが演じ、作品中で歌われた「ムーン・リバー」はいまや映画主題歌のスタンダード・ナンバーになっている。 (ちなみに、カポーティ自身はこの映画にまったく納得していなかったのも有名な話。彼がイメージしていた主人公は清純で性的イメージを連想させないオードリー・ヘプバーンではなく、妖しさを漂わせるマリリン・モンローで、実際に彼女と台詞合わせまでしていたという。 彼は、親に捨てられ、他人の中で育ったマリリンの中に、似たような境遇を味わってきた自分と同じ「根なし草」のようなよるべなさを感じ取り、同類としての愛を捧げていたのだろう。) カポーティの作品の中でも、殺人犯の心理に肉薄した問題作『冷血』はとにかく圧巻だった。 『冷血』とは、実際に1959年にカンザス州で起こった一家4人惨殺事件の犯人に長期密着取材を行い、殺人犯の生い立ちや心理に迫った1966年に出版されたノンフィクション小説。現在までに世界24か国で翻訳され、アメリカだけでも500万部の売り上げを記録したという超弩級の話題作だ。 私のノンフィクション好き、犯罪心理分析好きにぴたりとはまり、巧緻でときに冷酷なタッチで描かれたその作品は、人間の業を強く感じさせて読み手を震撼させた。 暮れにマリリン・モンローの伝記を読んでから、彼女の友人であったカポーティのことを懐かしく思い出し、山本容子さんの銅版画が挿絵に使われた愛蔵本を引っ張り出したり、去年文春文庫から出版された村上春樹訳の文庫本を新たに買って読んだり、図書館で『叶えられた祈り』を借りて来ていたところに、この映画の放映だ。 またもや予感めいた私のアンテナに導かれて観た『カポーティ』。 2005年公開のこの映画は、主演のフィリップ・シーモア・ホフマンがアカデミー主演男優賞を受賞し、助演女優賞、作品賞、監督賞、脚本賞にもノミネートされるなどして大きな話題をまいた作品で、気になっていたものの観そこなっていたから、この機会はありがたかった。 『冷血』を取材した際のカポーティの心の動きをリアルに描いた映画『カポーティ』。 途中で帰宅したダンナさんは「主人公のしゃべり方、気持ち悪いからボリューム下げてくれないか」といったほど、ドーセー愛者(変な表記でごめんなさい。漢字だと検索で引っかかりそうなのであえて避けました)でもあったカポーティのおカマっぽさも含めて、ものすごくリアル・・・。 取材を通じて、友として親しく心を通わせるようにまでなった殺人犯の生を願う一方で、作品を発表するタイミングをはかって処刑を願う心理状態に陥って葛藤するカポーティの苦悩を描いた後半では、思わず息を飲んだ。 ≪表題の『冷血』は特にこれといった理由もなく、何の落ち度もない家族を惨殺した加害者を表していると言われているが、表向き加害者と友情を深めながら、内心では作品の発表のために死刑執行を望んでいた作者自身を表すのではないかという説もある≫(ウィキペデイア『冷血』より) 表現者として人に向き合うことと、人間として向き合うときのスタンスの違い。 そして、両方の立場をいかにして均衡を取り、折り合いをつけていくか――。 その線引きはとても難しい。 カポーティは、『冷血』で大センセーションを巻き起こし、時代の寵児となって以後、テレビ番組に出演したり、雑誌の表紙を飾ったり、映画に主演したりして結局、1984年に59歳で亡くなるまで、ついに一冊も作品を完成することはなかった。 『冷血』は、その作品を受け取った世の中だけでなく、彼自身にとっても、あまりに大きく、重い作品だったに違いいない。 * * * * * そういえば、カポーティってエルトン・ジョンに似ている。 そして、エルトン・ジョンは、阿部サダヲに似ている・・・と私は勝手に思っている。 さて、この中でノーマルなのは誰でしょう? 今日の一曲は、1979年に全英1位の大ヒット曲となった ボブ・ゲルドフ率いるBoomtown Ratsの 「I Don't Like Mondays」(邦題『哀愁のマンディ』)。 アメリカ・サンディエゴの小学校で起きた16歳の少女による ライフル銃乱射事件を歌ったセンセーショナルな曲。 少女の犯行動機は「月曜日が嫌い」だったという・・・。 http://www.youtube.com/watch?v=qBmJOlkxDEk |
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